その５． ドイツ＿シルト島
「ドイツでウインドサーフィン？！」
これがドイツへ行くんだ、という私への典型的な友達の反応でした。
私の中でもあまり、ドイツでウインドサーフィンのイメージはありませんでしたが、スペインのグランカナリア島へ行ったときに写真を撮ってくれ、仲良くなったウインドサーファーがドイツの方だったので、彼らから情報を入手し、いざ、ドイツへ。
まず、ほとんどの知人が私に教えてくれた情報は「ドイツは英語だけで旅ができる国らしいよ。」でした。
「そっか、安心。」と思い、いつもの通り、航空券を手配。次にレンタカー。これがとっても高かった。スペインの時のようにきっと地元のレンタカー会社が手頃な価格設定をしているはずと、まず英語で調べ、次にわからないなりに、ドイツ語で検索。しかし、私の望む、「空港ににあるレンタカー会社」となるとメジャーな会社しかないようでした。ドイツ人はまじめそう、とはいえ、スペインの時のように待ち合わせ時間通りにレンタカー会社の人と出会えなければ、真夜中の空港に置き去り、もしくは帰りの航空機に間に合わない？！かも、といつもの小心者の虫がでてきました。それで、結局いつも利用しているレンタカー会社に予約をいれました。
よし、次はホテル、とできるだけ価格の安いところを検索。
なんとか、よさそうなホテルを見つけ早速予約のメールを送ってほっと一安心。
・・・・と、ところが、なんと返事のメールはドイツ語。
ドイツの旅行ガイドブックにも、予約のメールを英語で書いて送れば英語で返事がき、ドイツ語で書いて送ればドイツ語で返事がくると書いてあったのにぃ～。
な、なんで？
でも、もうドイツ語を今更勉強している時間はなーい。
あわてて出発前日に、ドイツ語の電子辞書を購入。背に腹は代えられぬ。今まで高額だからと、持っていなかったんだけれど。
不安いっぱいのまま一路ドイツへ。
ハンブルク空港から目的地のシルト島までおよそ２００ｋｍのドライブ。
レンタカー会社で道をきき、鍵を受け取り、レンタカーに乗り込んだ。一応、試運転。オッケー、いざ出発。
日本でもカーナビなどついていない車で私はどこへでも出かけていく。頼りは地図とコンパス。今の車を買ったときに職場の上司が私の方向音痴を心配して送って下さった物。（これはかなり頼りになります。）で、看板をみて出かけるのだけれどしょっちゅう道に迷う。
もちろん、例にもれずドイツでも道を間違えた。すぐに気づいてＵターン、と思ったら、マニュアル車のシフトレバーがバックに入らない。
え？さっきはできたのに、なんで。焦れば焦るほど入らない。それで、車の取扱説明書を読もうとすると、もちろん？それはドイツ語で書かれていた。あわてて電子辞書を取り出す。でも、そんなもん、全く役に立たない。
困り果てて、あーでもない、こーでもないして、レンタカー会社に電話をするも、もう営業時間外。困ってまた別のところに電話をかけた。「今どこに居るんだ？」ときかれ、「知らない。」というと「ドイツは大国だから、明確な道路の名前がわからないと助けてあげられない。」ときっぱり。仕方なく、歩いてメイン道路まで行き、道路の名前を確認して告げたが、らちがあかなかった。結局、日本に電話をして兄に相談。
いやしかし、携帯持ってて本当に良かった。
いつも人のことだと、ことさら冷静な兄。「シフトレバーが間違って入らないようにひっぱるというのをきいたことあるけど・・・？」「それはやってん。」と私。しかし、閃いた！！！
押して駄目なら引いてみろ、やけど、引いて駄目なら押してみろ、か？
そうでした、大騒ぎをしたあげく、とうとうシフトレバーはバックに入りました。
それからはアウトバーンへ乗り、一路、教えられた道を北へ、のはずだった。でも日本で言うドライブインで店員に尋ねてみると、なんと逆送していた。やっぱり、コンパスは必需品だ。このとき、次からは絶対持ってこようと固く誓った。
どこで降りていいのかよくわからないまま、なんとかＵターンをして、今度こそ北へ。
いやでも、どっと疲れが・・・・。
結局そのまま、次に入ったドライブインで車中泊をすることに。ドイツにきてまで車泊なんて、私らしいか・・・。仮眠、の予定が案の定眠り込み、目覚めると外は明るくなっていた。あわてて、アウトバーンを北上し、めざす駅のある町まで無事にやってきた。
そこから貨車に乗り込み、シルト島へ。ドイツ本土とシルト島の間は灌漑用の堤防でつながっていて、その堤防に列車の線路がしかれている。島への出入りには必ず、このルートを通ることになる。車窓からのどかな田園風景を眺めていると、ドイツが農業国でもあるのだなと感じさせられた。羊の群や牛の群、こころがほっこりする眺めだった。
３０分程度で貨車はシルトのメインシティ、ウェスターランドに到着した。観光案内所で訪ねると、海までの道を教えてくれた。
浜へ向かうとすでにたくさんの立派なテントが設営されており、既に見慣れた選手達がたくさんいた。
一安心。でも、残念ながら、風は吹いていなかった。
でも、まだまだ安心できない。何せ、宿泊先は結局詳細が不明のままで、大家さんともまだ連絡がとれていない。しかも、ドイツ語？
浜から電話を入れる。何とか英語で会話のできる大家さんのようだった。場所がわからなかったら、また電話して、とのこと。
良かった～。
暗くなる前にを浜を出発し、自分の調べた地図で宿泊先へ向かう。
道すがら、あたりの景色を楽しむことができた。日本の世界遺産、合掌造りにそっくりなかやぶき屋根の家々。
観光の島ということで、ブランドのブティックが立ち並ぶ場所もあったが、それもかやぶき屋根の下。バス停もかやぶき屋根。とってもかわいい。「こえだちゃんと木のおうち」みたい。
大家さんは年輩の上品な感じの方で、「私の英語は４０年ぶりよ。」と言いながら英語で対応してくれた。スムーズではなかったけれど、とても温かい方で、困ったことがあったらいつでも電話して、と言ってくれた。
泊まったのは小さなキッチンとバス、トイレのついたアパート。カップル仕様かな。
しかし、ここでも思ったのはドイツ人もきっと体が大きくないということ。
だって、シャワールームは私が調度のサイズだった。小さい。狭いよー。
１０日ほどの滞在中、不幸にも大会をやるほどには風は吹いてくれなかった。スラロームのレースとフリースタイルのセッションはできましたが、女性陣の出番はありませんでした。
私は１日だけ５．０㎡のセイルに８４Ｌの板で乗りました。風向きはポート。ドライ着用。ただし、風が弱かったので、寒くはありませんでした。
波は腿サイズ。しかし、ショアブレイクで結構きつい感じ。私的には楽しく乗れました。
浜ではいろいろなイベントが行われ、有名なレストランが店を構えて、みんなワインやビールを片手に朝から晩まで大にぎわい。夜は大音響で音楽が流されて、クラブみたいになってました。
スナックが食べられるブースもたくさんあり、ドイツ＝ソーセージだけではなく、魚介類がとても豊富でした。
一番びっくりしたのは「にしん」。「塩漬け」「酢漬け」「南蛮漬けのようなもの」とバリエーションに
とみ、それをフランスパンのようなものにはさんで食べるのだ。
私が店先で電子辞書をひいてこれは何かな？とやっていると親切な店員さんが、味見させてくれた。しかも全種類。とってもうれしかったし、とってもおいしかった。
私はのんびり、地元スーパーでお買い物をして、アパートで自炊。地味に聞こえるけれど、国によって色々違うスーパーマーケット事情。これってとっても楽しい。経済的だし。
アパートでは洗濯機や乾燥機があったのだけれど、これを使うときに、あの電子辞書が活躍しました。
あっというまの滞在期間が過ぎて、帰国の朝、またしてもトラブル発生。駅がわからない。というか、見えて居るんだけれどどう行ったらいいのかわからない。う～。
駅の売店で訪ねたけれど、私はわからないとかいう。もう、ドイツ語でも英語でも何でもいいー、誰か教えてくれーとやっていたら、親切な旅行客が教えてくれた。
車を載せられる貨車は片道３０分の道のりをピストン運行しているので、次の列車をまっても良かったが、ハンブルクまでまた２００ｋｍの道のり。少しでも余裕を持ってでたかったので、いそいで発車すんぜんの列車に滑り込んだ。
のんびり列車にゆられてドイツ本土へ。やれやれ、後は南下してアウトバーンへ乗ればいい。
・・・・・と、ところが・・・・どこでどう間違えたのか、アウトバーンどころではなく、私はどんどん町中へ入っていってしまった。困って、道行く人に尋ねる。「ごめん、英語わからない。」「身振りでもいいし、教えて。」というも、「右」も「左」もみんなドイツ語でしか教えてくれない。親切な人が、英語が少しは分かる人を連れてきてくれた。
でもやっぱりわからない。そこで、地図を書いて貰った。
よし、これならーと思うも、駄目。またまた、道に迷う。
そこで、今度は駅前でまた別の人に尋ねた。親切そうなご婦人。でもやはり、「ごめんね、ドイツ語しかわからない。」「すごくすごく困って居るんです。ハンブルク空港へ行きたい。飛行機に乗り遅れちゃう。」というと手振りでついておいで。そのご婦人はアウトバーンの乗り口まで、先導してくれた。
感激、している暇はない。私は１時間以上道に迷っていたのだ。
急いで、アウトバーンを南下。なんとか帰りの便に間に合った。
「郷には入っては郷に従え。」
ドイツへ行くなら、ドイツ語を勉強しよう、というのが、私のスローガンになりそうだ。