その６． エンジニアの仕事とウインドサーフィン
ウインドサーフィンを始めたきっかけは、海が好きだったから、ですがそれを続けてこられたのはまず第一にウインドサーフィンそのものの魅力、そしてウインドサーフィンを通して知り合うことのできた人達との交流、自然との触れ合いなどなど・・・。
けれどもう一方で、エンジニアとしての仕事とのバランスも大きかったと思います。
というもの、ウインドサーフィンに本格的にはまったのは仕事を始めてから。
私の仕事は、勤務時間が不規則で、毎日違う時間帯をくるくる回してのシフトです。休日も「何曜日」ということもなく、毎週変わっていくスタイル。もちろん友人ともなかなかお休みが一致しません。加えて、転勤族なので、地元の友人を作ってもまたすぐ転勤、といった厳しい環境。
休日を一人でも、そして友人とでも楽しく過ごせるウインドサーフィンは、まさに私にぴったりの趣味といえます。
そして、自然の中でウインドサーフィンをしているとエンジニアの仕事でのストレスが発散でき、とっても癒されます。
また、実際に海で「上司のアホー！！！」なぁんて叫んだこともありました。（新人のころはいろいろ社会人生活にストレスが溜まりますからね・・・ご勘弁を）
また見知らぬ土地へ行ってもすぐに知人や友人ができるのもウインドサーフィンの素敵なところ。
マイナースポーツゆえ、「○○さんのこと知ってます？」なんて話をすると、大概、知り合いの知り合いは皆知りあいで、一気に親近感が湧きます。
旅をしていても、ウインドサーファーを見かけるだけで安心したり、声をかけやすかったり。
いずれにしても、老若男女、職種をとわず、友人、知人ができるため、仕事での不満や失敗についてもお互いに話をすることで、納得したり、励まされたりしてきました。
実際に、ウインドサーフィンに関係する仕事であれ、そうでない仕事であれ、仕事という部分と趣味という部分を両方ばりばりこなしておられる先輩方の存在には、どんなに勇気づけられてきたかわかりません。
そして、この逆もまたしかり。
ウインドサーフィンにどんどんのめりこみ始めたとき、周囲の人たちに必ず言われたことは、「いつ、（エンジニアの）仕事辞めるの？」でした。
というのも、自然のコンディションにおおいに左右されるウインドサーフィンは、休日に必ず練習できるというものではありません。
また、どんなスポーツにもいえることですが、これだけやれば十分というものではありませんし、好きなことなのですから、毎日練習したい、やりたい、上達した
いと思うのは当然のことでしょう。
実際に、ドロップアウト、定職を辞めてウインドサーフィン中心の生活を始める人も周囲にたくさんいました。
私自身、毎日ウインドサーフィンすることへの憧れはありました。
でも、中学・高校とバスケットボールを真剣にやってきた中で、常にベンチウォーマーでスターティングメンバーになれなかった私。
とても、プロとして、ウインドサーフィン一本でやっていける自信はありませんでした。
ウインドサーフィン中心の生活を選んだ人は、自分を信じることのできる強い心をもった、尊敬に値する人たちなのだと私は思っています。
また、エンジニアの仕事は私の夢が叶って就けた仕事でした。
高校生の時、修学旅行で訪れた沖縄で、米軍の貨物輸送機が私の頭上を飛び立つのを見た瞬間、「これが私の仕事だ！」と運命を感じました。
そして、縁あって、今の航空保安業務に就くことができました。本当に幸せに思っています。
職場の上司、同僚にも恵まれ、「好きです」と自信を持って言える仕事。一度辞めると二度と同じ仕事に就くことはできません。このことが「辞める」という選
択肢に私を向かわせなかった大きな理由のひとつでもあります。
それでも、女性が少ない職場ではいらぬストレスも多く、実際に辞めたいと思うようなことも多々ありました。
そんなとき、ウインドサーフィンでリフレッシュできることがどんなに私を救ってくれたかわかりません。
また、ウインドサーフィンものめりこめばのめりこむほど、人と比べられたり、大会で負けたり、練習している技がいつまでたってもできなかったり、周囲に理解してもらえなかったり・・・とだんだん納得いかないことや、辛いこともあるようになりました。
でも、今までで一番つらかったのは怪我をして半年以上ウインドサーフィンができなかったことです。
そんなときは、仕事があることで職場で得られる充実感、上司、同僚の言葉にどれほど救われたことか。
その御陰で、またウインドサーフィンできるように頑張ろうと思い、辛いリハビリを続けることができました。
私は心が弱いので、エンジニアの仕事がなければウインドサーフィンも続けてこられなかったのではないかと思っています。
（何せ、三年間ほど、怪我に悩まされ続け、松葉杖使いがすっかり上達し、みんなにも（病院の看護師さんにも）松葉杖をもっているんじゃないの？と言われるほどでしたから）
人それぞれのスタイルがあるのだと思いますが、私にとってはウインドサーフィンとエンジニアとしての仕事は両方あってうまくいく、今までの私の全て、人生そのものだと思っています。
たとえ、一人の力は小さくても、自分は小さなねじのひとつであっても、大きな組織にとっては大切な役割を占めており、社会に貢献しているのだということを教えてくれたエンジニアとしての仕事。
そして、自然や人とかかわることで自分も周囲の人も互いに成長し、高めていけること、そして誰かのために私でも何かできることがあることを教えてくれた
ウインドサーフィン。
まだまだ未熟な私ですが、これが私のライフスタイル。
これからも勉強して、経験して、自分が何かを人に伝えられたらなぁと思っています。
偉そうなこと言ってすみません。でも、とても素直な今の自分の気持ちです。
昔、 「ウルフルズの歌う『ガッツだぜ』、がお前のテーマソングだな。」とある友人に言われました。
これからもガッツで頑張ります！！