その５．関東地方＿茨城県＿波崎、久慈浜
波崎、という名前は何度か友人から聞いていた。
当時、名古屋に住んでいた私にとっては遠い場所。
なかなか行く機会に恵まれなかったが、ある夏、福島県の勿来までウインドサーフィンをしにいく旅行を計画
した。
１週間の休みを取り、愛車に満載の荷物を載せてうきうき気分で一人、名古屋を出発、一路北を目指した。
翌日、待ち合わせて合流する予定の友人に天気図から「明日は、波崎がいいよ。 」と言われ、大体の場所
を教えて貰い、翌朝現地集合ということになった。
その日はよいお天気で、目的地の波崎には無事午前中にたどり着き、少しずつ風が入ってくるのを風力発
電の風車の動きで感じながら、のんびりしていた。
どうやら、波もサイズは腿程度で、風も手持ち最大の微風用の道具でしか乗れない模様。
はやばやとセッティングする友人の様子を眺めて、それから１００Ｌのフリースタイル用の板に５．８㎡のセイル
を準備した。
風向きはクロスオフ。かなり弱かったけれど、午後には少しあがってきて、私は板を８４Ｌのウエイブの板に
変えて小波のライディングを楽しんだ。
このゲレンデは南東～南系の風向きの入りがよく、関東周辺ではなかなか貴重な場所のようで、関東一円
から、週末、天気図が決まればウインドサーファーが集まるようだ。
海水はとてもきれいで、すこしひんやり。風は朝方に吹く方が多いようだ。
この日は平日とあって、人は少なかったけれど、ローカルのウインドサーファーが４～５人程度やってきて、
さすが、と思わせるライディングを見せてくれた。
この場所は海水浴場の駐車場からさらに北側に奥まった場所で、風力発電所の風車のそばにある。少し開けた駐車場があり、この日も、観光バスが通ったり、一般の車も何台か停まっていた。
すぐ後ろは、県道かな、一本道路が走っていた。
私は勝手に、「あー、ここ安全なんだ。」と思ってしまった。
そして、久しぶりの遠出でうきうきする気分から、大きなミスを犯してしまった。
車内を出入りして、貴重品を隠すのを他の人から見られてしまった上、衣類などの荷物の入った鞄も無造作に後部座席に放り込んでいた。
夕方、風は弱かったけれど、楽しかったなぁ～と海から戻って、道具を運んだりしていた。
そして、車に戻ると、なんかおかしい。
？？？？
そして、ようやく事態が飲み込めたときにはショックで声も出ないほどだった。
” 車上荒らし ”
生まれて初めて（いや今後もなくていいが）その被害に遭ってしまった。
しかも、旅先で。（見慣れない他府県ナンバーが災いしたのか？）
そして、１週間の旅行の割には大荷物だった私の荷物は全て盗まれていた。
運転席の横の窓が、木っ端みじんに割られていた。
ない、ない、ない。何にもない。
脱いであったスカートまで盗まれていた。
落ち込んでいる暇は、ない。
まず、何をするべきか。
その場にいたローカルのウインドサーファーの人や友人に助けて貰い、警察を呼んで、書類を作成して貰った。
警察がくるまでには相当待たされたが、今思うと、夏ということもあり日が長かったのと、寒くなかったのと、友
人がそばに居てくれたことなんかがあり、何とか我慢してめげずにがんばれたのだと思う。
そして、親切な地元の方が、「僕、地元なんで、窓ガラスを塞ぐものを何かホームセンターで買ってきますよ。」と
言ってくださった。
その方は、しばらくすると厚手のビニールクロスとダックテープみたいな物を使ってとても器用に窓を塞いでく
ださった。おかげで、その後、名古屋まで無事に高速道路を走って帰ることができた。
友人からお金を借りて、高速道路の乗り口近くまで送ってもらった。
しかし、私にはやらなければならないことが山のようにあった。
本当に何もかも盗まれたのだが、何もかも盗まれすぎて、手の施しようがなかった。
お財布、クレジットカード、携帯電話、保険証、身分証、眼鏡、運転免許証、衣類（１週間～１０日分）、水着、サーフトランクス、アクセサリー、辞書、本、語学の本、文具、お気に入りのボストンバッグ３個・・・etc.
あげだしたらきりがないほどだが、まず考えたのが、やはり悪用されるおそれのあるクレジットカードのこと。
しかしカード会社の連絡先もわからない。
有料道路の道の駅のようなところで、まず、テレフォンカードを買った。
今時、というかテレフォンカードを使うのなんて、何年かぶり。
まず、その単語が出てこなくて、「あの～、電話をかけるやつ。」とか言ってしまったくらい。
そして、唯一電話番号を覚えていた実家に電話し、兄の連絡先を教えて貰い、そこからは兄の活躍のおかげでなんとか事なきを得ることができた。
兄に電話しては、クレジット会社の電話番号を教えて貰い、自分でカードの盗難を届け、その間にまた別の会社の連絡先を兄がインターネットで調べるという繰り返し。
それを何往復かして、ようやくカードを止める手続きが終わった。
盗まれてからかなりの時間がたっていたが、幸い犯人は現金にしか興味がなかったようだ。
現金・・なんてお財布にたったの２万円ちょっとしか入っていなかったのに、あとで計算したら、盗まれた物の総額は、ボーナスで買い直すこともできないようなおっそろしい金額だった。
日頃、使っている物で貴重品に分類されない物って、実は金額にするとかなりな額になるのだと初めて実感した。
例えば、デニムにジャケット、Ｔシャツに水着、眼鏡、アクセサリーと、これだけでも物によっては相当な額だ。
私は基本的にブランド物に縁がないけれど、それでも途方もない金額の損害を受けた。
自分が刺されたりしなかっただけ良かったと思うしかない。
クレジットカードの盗難届が済んだ段階で、私の疲れもピークとなり、そのまま運転席で少し仮眠をとり、翌朝、急いで名古屋にとんぼ返りをした。
それからも大変。
職場の関係の書類も盗難にあったが、当時、職場を変わったばかりで、なんと職場の電話番号も携帯電話とシステム手帳に記してあったが、記憶してはいなかった。
職場に届けに行かねばならないけれど、まず、連絡しなくちゃ・・・。
そこで引っ張り出してきたのが年賀状だった。
年賀状で電話番号の記載のある人に片っ端から電話し、何人かを終えたところでようやく、一人の上司と連絡が付き、職場の電話番号を教えて貰った。
職場にはとりあえず、報告をすませ、今度は自転車で行ける近所の眼鏡屋さんに「今日中に作れる眼鏡を作って！しかも安いやつ。」とお願いし、携帯電話をとめて貰うよう、携帯電話のお店に行った。
翌日、運転免許証を再交付してもらいに、運転免許センターに行き、その足で、職場へ。
みんな、同情してくれて、書類の作成から、臨時の書類の発行まで、すごくスムーズに処理をしていただいた。
本当に感謝です。
その後、地元の警察でも書類を作成する必要があり、警察署に赴いて、被害届の書類作成をしてもらった。
結局、何カ月たっても私の車から盗まれた物は発見されなかったが、何か悪用されて自分の知人に迷惑をかけることなどがなかったので、よかったと思っている。
精神的なショックは結構強くて、１ヶ月以上、海に出かけられなかったのだけれど。
その後、他の友人からも話をきいたが、波崎や千葉の外房なんかでは車上荒らしは「遭うものだ」と思って、車に荷物は載せない、貴重品も極力持たない、という主義で行け、と言われた。
本当にその通り。
しかし、この教訓を忘れて、私はこの後また、とんでもない被害に遭うのだけれど・・・。
みなさんも、せっかくのよいコンディションや、素敵なビーチ、楽しいウインドサーフィンの思い出も台無しになってしまう、このような被害に遭わないようにきちんと対策をしましょうね。
本当はとても素敵な場所なのだから・・・。
私はまだ、しばらく行けないけれど、トラウマで。
いつか、波崎で本当に楽しい思い出を作り直したいと思ってます。
次に、久慈浜。
昔のウインドサーファー向け雑誌で紹介されていた久慈浜。ローカルの人が大切にしている場所ということで、大きな声での紹介は差し控えさせていただきますが、私が乗った日は北東のポートサイドの風が吹き、沖からサイズのある波がきれいにブレイクしていました。ただし、リーフポイントなので、ブレイクする場所、ゲティングアウトする場所、プルアウトする場所が潮の満ち引きも含めて固定されていて、ローカルの方からのアドバイスはかかせません。
もしも、機会に恵まれて久慈浜に行くことがありましたら、自然と地元の方に敬意を払ってマナーよく楽しんでくださいね。
そして、大洗。
比較的、首都圏からアクセスがよいこの大洗。
海に向って左手に防波堤があるため、外海からの波が直接入らないため、台風の時にも（潮の流れや気圧配置にももちろんよりますが）避難場所的に使うことができる。
風向きは北東でポートサイドのクロスオフで防波堤で整えられた波がマシンブレイクし、くたくたになるまで１本の波で波乗りを楽しむことができる。
浜は長く広い砂浜が続いていて、防波堤の反対側の見側に行くと、テトラポットや岸壁があり、波をロングライドして行くとどんどん波はパワーを持ってくる。
波のサイズがダブルオーバーヘッドくらいになると、防波堤から離れれば離れるほど、エキスパートしか乗れないハードなコンディションになってくるそうだ。
私はまだまだいけませんが・・・。
季節によっては潮干狩りを楽しむ人であふれていて、家族連れも楽しく過ごすことができますよ。
サーファーもたくさん入っていて、みんな海を満喫しています。
ただ、海水が若干冷たいので春先でもセミドライ、フルスーツが必要です。５月くらいでもローカルの方がサーフィンする時にブーツやグローブを使用していました。
ゲレンデの近くにはアウトレットショップやおいしい食事のできるお店、温泉もあるので至れり尽くせりって感じかな。アフターサーフィンもばっちり楽しめる一粒で何度もおいしい大洗。
是非ぜひ、気軽に足を運んでみてくださいね。