＜ メキシコ ＿ Ｂａｊａ ＞
＜ ２００３年 ９月 ＞
メキシコ・・・メキシコといわれてイメージするものは、サボテンだったり、カンクンだったり、タコスにソン
ブレロなどなど。でもそこに「ウインドサーフィン」が入ることはなかなか無いと思う。
私もたまたまウインドサーフィンの雑誌で紹介されていた記事を目にしなければ一生出かけることは無
かったかもしれない。
内容は数人のウインドサーファーの人たちがキャンプサイトを利用して、とても快適にウインドサーフィ
ンを楽しんだというものだ。人も少なく、波もいい。風の心配もなく、テントサイトの環境も整っている。
そしてたまたま、雑誌に記事が載っていた場所へ旅行が企画されているという情報を得た。
参加メンバーは全部で男性５名女性３名の計９名。そしてスタッフの男性が１名。
初めて出会った人も多かったが、旅行当日、思わぬアクシデントが私達を襲い、強固な連帯感を手に
入れることになろうとは、ロサンゼルス空港では誰も思わなかった。
まず、メンバーの一人が大幅に遅刻をしてきた。
全員で始めてきたロスの空港内を、しかも顔も知らないメンバーを探し始めた。
日本人らしき人をみるや、おそるおそる近づいていって、「〇〇さんですか？」というのを繰り返した。
（今思えば、危険な行為じゃないのか？）
もう待てない・・・、そう思って諦め掛けたとき、最後のメンバーがやっと現れた。
気を取り直していざ出発。
サンディエゴの事務所で契約をすませ、私達の荷物とウインドサーフィンの道具、そして水や食料を積み込み、スタッフが運転する車に８人が乗り込んだ。
サンディエゴからメキシコに入り、スタッフおすすめのお店のホットドック（これが安くて、とってもおいしい。１ドルで大満足でした）で軽い夕食をすませ、夜の闇が迫る中、車は舗装道路からダートの道へとすすんでいった。
そして、そのころには、なんと、外はどしゃぶりの大雨になっていた。
メキシコで雨？？？
などと思っていたら、大変な状況に置かれていることが次第に判明してきた。
ダートの道は粘土質の土壌で次第に勢いを増す雨が道路の上を全くしみこまずに流れ出したのだ。
道は川になった。
熟練のドライバーでもあるスタッフは必死にハンドルをきり、傾斜のある曲がりくねった道をすすんでいたのだが、とうとう脇のくぼみに片側の車輪がはまってしまった。
スタッフはいろいろ手を尽くしたが、諦めて近くの漁師町に助けを求めに行くから車で待っているようにと言い残して行ってしまった。
真夜中。しかもメキシコ。そして傾いた車の中に８人がすし詰め状態。
でも、文句はいえない。スタッフだってびしょぬれになりながら助けを求めに行ってくれたのだから。
気を紛らわせるためにみんなで少し話しをしていたが、日本からの長旅の疲れのせいか知らぬ間に眠りに落ちていた。
コン、コン・・
気づくと車の外が少し明るくなっていた。でも雨足はおちついたものの、まだ雨はやんでいなかった。
昨夜、助けを求めてでかけていったスタッフが顔を覗かせた。雨が上がらないと助けも来られないので、とりあえずここから歩いてテントサイトへ行こうということだった。
傘もないので、ポンチョのように頭からかぶっていくとよい、と黒いゴミ袋を手渡された。
道路には相変わらず水がかなりの勢いで流れており、ところどころ危険なので、男性陣が女性を挟むようにして歩くことになった。
一列になり、水かさが深いところでは手を繋いで浅いところを探しながらゆっくり進む。
まるで、冒険映画さながらで、ビデオに残しておきたいくらいだった。
一時間近く歩いていくと海が見えてきた。
すごい良い波が割れている！
げんきんなものでそれをみたら一気にみんな元気になった。
テントサイトにつくとタオルや暖かい飲み物を別のスタッフが用意していてくれた。
少し落ち着いて笑い声も出だした頃、太陽が顔をだし、一気に気温も上昇し、メキシコらしいお天気になってきた。昨日の悪夢は何だったんだろうか？
その日は最高のコンディションだった。
テントサイトにはレンタルギアが完備されていた。日本から自分の道具を持ってきたメンバーは結局車が到着しないので諦めて、レンタル組のライディングをみていた。
夕方になると、地元の漁師の人たちがスタックした車をひっぱっりだしてくれ、無事荷物が到着した。
ただし、びしょぬれ、どろんこになっていたけれど。
こんなにひどい雨は５年ぶりとのこと。地元の人たちも心なしか驚いていた。次の５年後２００８年頃に行く予定の人は要注意。なんてね。多分そうそうあることではないようなのでご安心を。
一人につきひとつのテントが用意され、中にはシュラフや毛布がありとても心地よく過ごせるようになっていた。トイレは穴を掘ったところに、便座をおいてまるで普通の簡易トイレのように整えられていた。
空気が乾燥しているせいかにおいも気にならなかった。
テントサイトは海を見下ろす丘の上にあり、ベースキャンプの横には発動発電機の施設が整っているため、ベースキャンプの中ではテレビやビデオをみることもできる。電話は衛星電話を緊急時には使用できるとのことだったが、忙しい日本人には電話も通じないような所へ行った方が日常から開放されて良いのかもしれない。
ベースキャンプの入口にはキッチンがあり、地元の漁師の奥さんが毎日朝昼晩と三度の食事を作ってくれた。これがまたまたおいしい。朝からもりもり食べるものだから、アメリカ人スタッフが目を丸くして驚いていた。どうして日本人はそんなに細くて小さいのそんなにたくさん食べるのだ？といわれた。
みんなたっぷり時間があって、空気もおいしく楽しい仲間とこのおいしい食事を目の前にしたら、日本では考えられないくらい食べちゃうんだよね・・・。と言っていた。
そして、海。風は昼から吹いてくる。トレードの向きはスタボーサイドのオフショア。海水は冷たいので、９月でもドライを着て調度良いくらいだった。
朝はサーフィンかＭＴＢ。そして午後から日が暮れるまでウインドサーフィン。
みんなが海からあがるころにはスタッフがお湯をわかしてシャワーの準備をしてくれる。
おいしい夕食のあとはビデオを見ながら反省会。そしてそとは満点の星空。
余計ものが全くない、シンプル。
そこがバハの魅力なんじゃないかなぁと思う。
他にもたくさんびっくりすることやトラブル、楽しいこともあったけれど、ここでは書ききれないのでこれでやめにしたいと思う。
是非、一生に一度はあなたも旅してみたらよい場所だと思う。