その１４．スペイン グランカナリア島 ２０１０
2010年8月、今から１年前の夏、私は右肩を亜脱臼、靭帯断裂という怪我をした。
それ以来、およそ１年間、ずっと病院に通って治療とリハビリを受けてきた。海に復帰するために・・・。
初めはドアノブを回すこともできず、ペットボトルのキャップすら開けあられなかった。
ウインドサーフィンなんて夢のまた夢・・・。
そう思いながら、ありとあらゆる努力をしてきた。
三週間、バストバンドで右肩と腕を固定し、手術を受けることになるかと怯えながら痛めた組織の回復を待った。
その後は週３回の病院でのリハビリに始まり、肩を固定していて低下した体力と筋力の回復のために週３回ジムへ通い、肩の稼働域を回復させるためにフラダンス、ヨ ガ、フェルデンクライスメソッドのクラスにも参加。
柔道整体にカイロプラクティックで無理な体の使い方による歪みを矯正しつつ、地道な軽ーいトレーニングを続けた。
なんとか３月末から海に復帰。初めはフラットウォーターから。
ジャンプしたい気持ちをぐっとこらえて、まずはアンダーセイリングから。
週３回の病院通いと週１回、１時間〜１時間半のウインドサーフィン、ジムでのトレーニングに移行して継続することさらに２カ月。
ようやく５月末には週２回、２時間くらいのウインドサーフィンが可能になり、小さな波にも乗れるようになってきた。
少しずつ陸のトレーニングを海でのトレーニングに移行して、ジャンプもできるようになって、なんとか７月初頭のこのポッゾの大会に参加できるまでになった。
あくまで参加、ということで病院の先生にも許可を得て、怪我をして帰ってこないように釘をさされて、ぎりぎりまで病院でリハビリをしてから日本を出発し た。
ウインドサーフィンの道具を持っての旅はそれだけで重労働だ。
上は、空港についてホテルに移動するためにレンタカーへ荷物を積み込んだところ。
（ダブルのトラベルボードケースをぐるぐる丸めないと借りたレンタカーの車内に荷物が収まらなかった。このケースだけでも８ＫＧあるのだ！！！）
今回、本当に最低限の道具にしたので板やセイルを１パッケージにして４０ｋｇと１０ｋｇ程度のウインドサーフィン用の小物プラス着替え等々を入れたボスト ンバッグが２０ｋｇ。機内への持ち込み荷物が１０ｋｇ程度。
しめてこれだけでも６０ｋｇ。
しかもウインドサーフィンの道具はかさばるので日本の空港では本当にもの珍しそうにみられる。
カウンターでオーバーチャージの問い合わせに２時間ほど時間がかかって、ようやくカウンターを出ることには既にチェックイン時間ぎりぎりで、すぐに搭乗口 に向かわねばならなかった。
いつものこととはいえ、機内に乗り込むまででまず一苦労だ。
この先、成田からフランクフルトまでが１０時間程度。その後、マドリッドまで３時間。さらにグランカナリアまで３時間。
各空港での乗り継ぎが今回の航空会 社はとても短く、ばたばたと走り回ってしまった。
（このカートに乗せて欲しくなるほど、空港内を乗り継ぎのために走り回った。）
ウインドサーフィンの荷物なんかはすべてスルーで最終目的地まで通してあるから、何とかなったのだけれど。
無事にグランカナリアに到着したのが深夜の１字を回ったころ。日本の自宅を出発してからおよそ２４時間。
もうくったくただ。
でも、荷物はすべて無事に到着したので一安心。
空港でレンタカーを借り、２０分ほど運転してホテルへ。
（日中に見るとはっきり看板が出ているホテル。これが夜だとわかりにくいんだよね。ライトアップされていないから・・・。）
部屋に着くと熱いシャワーを浴びてベッドへなだれ込んだ。
翌日は、ウインドサーフィンの道具の梱包をほどき、セッティングをするためにPOZOの浜へでかける。
大会期間中は、浜に道具を置きっぱなしにしても大丈夫ということになっている。盗難がゼロかどうかは何とも言えないけれど。
基本的には大丈夫、ということになっているので、私はいつもセイルを張りっぱなしにして、ボードだけ車にしまうようにしている。（ボードは簡単に盗めちゃうからね）
既に大会に参加する選手もみられたが、今回はＷＡＶＥの１種目だけの大会なので、例年よりは浜はひっそりしていた。
早々に場所を確保してセッティングすることにした。
毎年、ポッゾであって顔なじみになったアルゼンチン人のダリオが手伝ってくれた。
写真が私の場所取りの完成図。浜にごろごろ転がっている石を積んで城壁のようにして自分のスペースを確保します。早い者勝ち！もっとがっちり積む選手も多いけれど私は道具も少ない上に、今回は波打ち際ではなく、奥のスペースを確保できたから、これで十分。
試合が始まって、今回は大きなトラブルもないと思っていたのにストラップのデルリンがゆるゆるになってしまっているのを発見。
ドライバーで締めても空回りする・・・・。
やばい、これじゃあ乗れない。
青くなっていつも助けても らっている、Ｑｔｒeに顔をだす。
POZOの浜には２つのウインドサーフィンのショップがあり、QtreとHUＵLINというのだけれど、私はフランシスコから紹介されたヨナスの居るＱｔｒｅにいつもお世話になっている。
顔なじみのフアンがいたので相談すると、初めは１日では直らないから、前足側と入れ替えてみたら？といわれ、試してみると前側も緩い？？？？なぜかわからないがこれは修理しないと乗れないーと慌てて再度駆け込んで相談すると、何のことはない、日本で交換したビスの太さがあっていなかったのだ。
はずかしー。
・・・そして恐ろしー。
こんな状態で乗っていたなんて。
気づいてよかったー。
怪我しなくて良かったー。
無事に事なきを得て一安心。
いつも何かとトラブルがあるね、フアンにとからかわれた。
その通り。
それくらい毎回、Ｑｔｒｅのヨナスとフアンにお世話になっているのだ。
二人とも英語が堪能なので本当に助かります。
スペイン語で話ができるともっと楽しいのにね、きっと。勉強しないとなぁ。
せっかくスペインに行くのに、もったいないよね。
正面左側がフアンで右側がヨナスです。
彼らの御陰でなんとか毎年楽しく事故なく、怪我なくウインドサーフィンを楽しめています。
大会は、ダブルイリミネーションが成立。
結果からすると私は９位でフィニッシュ。
ジャッジには全く成長していないと思われているかもしれないけれど、今年はここまで復帰できただけでも私としては自分で自分を褒めてあげたかった。
それくらい一時はウインドサーフィンが二度とできないのではと思えたから。
一時肩を固定したため初めは腕が、全く上がらなかったのだ。
運動できるようになっても、一番負荷の軽いセラバンド（白色）でさえ、ひけなかったのだから。
セイルアップなんてできるのか？
波に巻かれて道具を持っていられるのか？
ピークに当てた時の衝撃に肩が耐えられるのか？（この衝撃で肩を怪我したので）
心配で海に出ていても、冷や冷やしていた。
来年も、ここに戻ってこられるようにリハビリはあと１年は続けないといけないだろうと思う。
なんとか週に１〜２回には減らしたいけれど。
さておき、スペインでは前の年と全く同じようなルーティーンで過ごしていたのだけれど、一番違ったのはサッカーワールドカップの開催中でスペインが勝ち続 けていたこと。
街はお祭り騒ぎをしていました。
なんとも表現しきれないけれど、その瞬間に（優勝の決まった試合のときにはいられなかったけれど）その場所に居られたことが幸せでした。
（上の写真のように通りを車が列をなして歓喜のパレード中。クラクションを鳴らしながら・・・・）
最終日は現地に住んでいる友人にまたまた、１日付き合ってもらい、あちこち観光＆ショッピング。
まずはTＥROＲという小さい町の教会をみてから古い街並みを散策。
もともと、世界史が大好きだったので、ウインドサーフィンをしていなかったらこういう旅をたくさんしていたんだろうなぁと思う。
今までお金も時間もウインドサーフィンにしか使ってこなかったけれど。
グランカナリアで友人にいろいろ案内してもらうのは、私にとって最高の贅沢です。
しかも観光ガイドなみに歴史のことだったり、今の時世のことだったり、色々詳しくって、話ていると楽しくて、いつも時間があっという間に過ぎてしまいます。
街のシンボル的存在の教会とその内部。珍しく、梁やバルコニーが木造建築になっています。これもカナリアバルコニーの一種なのかしら？カナリア松を使った独特の装飾を施したバルコニーが有名で、今も町並みの中で見かけることができます。
おみやげにもなっていて、今回は奮発して購入しました。ともに１０ユーロ程度でした。（ひとつはお嫁に行く予定。）
写真がいまいちだけれど、瓦の素材にカナリアバルコニーをあしらったものと木製のカナリアバルコニー。
どちらも可愛くて二つとも買って来ちゃいました。
週末には観光客用の市が立ち、民族衣装を身にまとった人たちが、民族舞踊を披露してくれています。
美しい町並みになじんでいる庁舎と高台からの眺め。右の写真の隅にカナリア松が映っていますね。
たくさんお土産も買っちゃいました。
だって、日本にはない素敵なものが、しかもプチプライスでたくさんあるんだもん。
写真は本革製のピアス、チョーカー風のペンダント、ブレスレット。
いずれも大体３ユーロ。
可愛くてプレゼントにもできるのでまとめ買いしちゃいました。
念願のパエリアも食べに連れて行ってもらって、大満足の１日でした。
ところが、帰り際に問題発生。
欲しかったサンダルを購入しようとした際にクレジットカードのＰＩＮコードがうまく通らず、現金で支払うことになりました。ホテルにはまだ現金があったも のの、大金を持ち歩くのは好ましくないのでここでほとんど、手持ちが無くなりました。でも、それ以上ｊに、ホテルの支払いと帰りのオーバーチャージはクレ ジットカードで支払う必要があるので、このカードが使えないと笑いごとでは済みません。
帰国前日の夕方になっていきなり発覚・・・？
まずいマジでまずい。
だって、日曜日なんだもの。銀行もやっていないし。
友人も真剣に心配してくれて、私が現金を下ろしてこようか？とまで言ってくれた。
海外ではクレジットカードがうまくにんしょうされないことが多々あるため、実際にポルトガルではクレジットカードが使用できず、兄に海外送金してもらう羽 目になっちゃったのだ。
（この件はポルトガル ２００６を読んでね。）
以来、海外に来る際には違う信販会社のカードを２枚以上は持参するようにしている。
外に出た時は危険なので１枚しか持っていなかったがホテルには、もう１枚別のカードがある。
「それで支払ってみる、多分大丈夫だから。」
となんとも冷や冷やさせられる回答を残したまま、友人に見送られてバスに乗る。
またしても降りる場所を教えてもらわないとわからないので、運転手に頼もうかと思っていたらバスは混雑していて運転手の近くの席は埋まってしまった。
見ず知らずのおじさんが親切に「○○で降りるのは教えてあげるよ。」と大声でいうと、また別のおばさんが「私たちもそこで降りるから、一緒に降りましょ う。」と言ってくれた。
じゃあ、よろしくねーとおじさん。
:地元の人は本当に親切。友人いはく大阪のおばちゃんとかみたいな感じ。うるさいくらいにおせっかい、な時があると。
でも、おかげで無事にホテル前でバスをおり、親切にホテルはそちらよと教えてもらって、急いで部屋へ戻る。
ホテルでカードで支払いを頼むと、無事に事なきを得た。
友人に電話して二人して一安心。
本当にお騒がせしてしまった。
翌日はまだ暗いうちにホテルを出、ウインドサーフィンの道具もスムーズにチェックインさせて無事に家路につきました。
上は定番のおみやげ、地元のTirmａという会社のコーヒー＆チョコレート菓子。甘すぎず、クッキー生地も美味しいんだ。
今年で最後かも・・・と思っていたけれど、来年もいやいや今すぐにでも、グランカナリアに行きたくなっちゃった。
来年も、行くぞー！