その６．北マリアナ連邦＿サイパン
＜ １９９４．２月 ＞
日本人に馴染み深い海外旅行先といえば、かつてはお手ごろ感あふれるリゾート地、サイパンとグァム。
何せ、日本から飛行機乗って３時間で行けてしまう。
国内よりもある意味手頃な場所。そして常夏。
サイパンとグァムはひとくくりに考えられがちですが、統治体制が全く違うのですよ。
さてさて、５月にウインドサーフィンを本格的に始めた私に、ウインドサーフィンのショップスタッフからの甘いお誘いがありました。
「冬にどれだけ上達するかで違ってくるんだよー。サイパンに行ったらウォータースタート（体が海中にある状態から、風の力を利用して、板の上に体を移動して、ウインドサーフィンのライディングポジションになること。初心者には憧れ、かつウインドサーフィンをするのに必要かつ大切な技術です。）までのマスターもすぐだよ。」
お店のツアーが企画されており、スタッフが長期滞在している間に、自分の予定に合わせたツアーを組んでくれるのだ。
しかも、道具は最新モデルのレンタルも可能だし、自分の道具を持っていくことも可能。その時はそういうものかと思っていたけれど、自分一人で海外に行くようになり、どれだけこういった手配をしてもらえるのがありがたい事かよぉーくわかった。
航空券、宿泊、道具のレンタルもしくは運搬・・・本当に今更ながらスタッフには頭が下がる思いです。
そして、旅先での面倒もすべて見てもらってました。海でのアドバイス、流されたお客さんの救出などなど。
私はスタッフに自分のスラロームの道具を持ち込むことを頼み、長めの休暇を取って、いざ南の楽園へ。
同時期に始めた仲間も多数参加したため、本当に楽しい旅行となった。遠足の延長。海での練習もみんなとの食事も楽しくて、夜遅くまでウインド談義に花が咲いていた。
調度、サイパンに出かける数日前、江ノ島東浜でオールラウンドの道具に乗って練習していた時に、生まれて初めてウォータースタートができた。思わず、「できた〜！！！」と大声で叫んでしまった。自分でもびっくり。
サイパンは雑誌でみたとおり、エメラルドグリーンの海、フラットウォーターに白波が飛んでいる。
真冬に水着やサーフトランクスなんて恰好でウインドサーフィンできるなんて、最高だぁー。
しかも有名なマイクロビーチの前にはウインドサーフィンのショップがあり、ずらーり最新モデルのセイルがセッティングをしたままつるされており、いつでも乗れる準備ができていた。
ウインドサーフィンをする人にとっては最高の環境だ。
ホテルに荷物を置いたらすぐに海へ。
外国なので、戸締りや貴重品の管理には気をつけるように言われる。
でも、はじめにある友人は、慣れないチップをポーターに支払う時に間違えて１１０ドルも渡してしまった。ポーターもびっくりしただろうけれど、２日ほどしてから気づいた本人もびっくり。がっかりしていたけれど。
ホテルは相部屋でまるで修学旅行だ。
マイクロビーチの正面に位置するホテルに滞在したため、海までは歩いて行くことができる。
すぐに着替えて、海へ。
スタッフに、沖に浅瀬があるから注意すること、リーフからでないこと、という注意を受ける。
「は〜い。」
とみんな模範的な返事をした。
私はスタッフが搬入してくれていた自分の道具をセットし、いそいそと海へ。
しかし、その直後、私はうきうき気分でプレーニングをしてまっすぐ沖へ向い、フルスピードで浅瀬へ突っ込み、ハーネスをかけたままの状態でフィンが思いきりささり、自分の体重で板のノーズへ激突。ノーノーズという細ーいノーズをもったスラロームの板はばっくり先が折れてしまった。
・・・・あんなに注意されていたのに・・・。
意気消沈して、浜へ戻り、途方にくれる・・・。
スタッフがそれをみてなんとか、応急処置を施してくれた。
おかげで残りの滞在中も楽しくウインドサーフィンをすることができた。ありがとう。やれやれです。
また、別の友人は視力が悪いために、ウインドサーフィンをする時にいつも眼鏡をかけてバンドで固定していたのですが、フルスピードでプレーニングしていて吹っ飛んでしまったために、バンドが外れて海の底へ・・・。
困った彼は水泳をする時用の度付きの水中眼鏡を着用して、残りの数日間、ウインドサーフィンを楽しんでいました。
そして、最後に夕方間近、大変な事件が発生。
一人の女の子がリーフの切れ目から沖のほうへ流された。
スタッフがウインドサーフィンで追いかけるが、本人も少しパニック状態のため、今度はアウトリガーカヌーみたいなボートをかりて救出にでかけた。
なんとか、すぐに彼女に追いつき、ボートへ乗せた後、スタッフが彼女の道具で浜へ生還。バンザーイ。
江ノ島東浜のほかのウインドサーフィンのお店のツアーとも重なり、江ノ島東浜にいる錯覚をおこしそうでした。
でも、現地の人が浜でパーティーをしたりしていて、あるスタッフは現地語で話しかけられたそう。
顔が・・・？
いえいえ、長期滞在しているスタッフは真っ黒に日焼けして、現地の人に間違われても仕方ない・・・かな？
私は念願のウォータースタートとジャイブの練習がたっぷりできて大満足でした。
本当に頼もしいスタッフのおかげで、その後は大きな事件もなく楽しく、毎日ウインドサーフィンを堪能し、無事に旅を終えることができました。
翌年はさらに長いお休みを取って10日間ほど滞在しました。
お店のツアーで楽しく、有意義な旅ができました。
本当に感謝感謝。
安近短なんて、うたい文句が昔はありました。
安くて近くて短期ステイでも楽しめる、だったっけ？
今は韓国や中国のほうがホットかもしれませんけれど、やっぱり南の島でのんびりする休日も素敵ですよー。
ぜひ、次のお休みにでも出かけてみてください。